東京都とNSW州との友好提携は、1983年に、当時のシドニー市長が都知事を表敬訪問し、同市長から友好提携の提案があったことにさかのぼる。シドニー市はご承知のとおり、1980年9月に名古屋市と姉妹都市提携を行っており、以来、緊密な交流を行っている。シドニー市はCBD地区のみを管轄しており、行政主体の意味において、東京都のカウンターパートには不向きである等の理由により、東京都はオーストラリアの実質的な首都地域であるNSW州と交流を行っていくことになった。面積で比較すると日本の2倍以上の大きさがあるNSW州であるが、NSW州も東京都もそれぞれの国の政治・経済の中心的な役割を果たす自治体として、共通の課題を持っている。1984年の両都州の友好提携により、さまざまな分野での交流が行われるようになった。
主な交流として、高校生の交換留学、コアラの多摩動物園への受け入れ、東京シティハーフマラソンとCity to Surfに選手を相互派遣するマラソン交流、互いの国の文学書等を交換する図書館交流、研究者・教員交流、交換職員の相互派遣、調査団の相互派遣、技術交
流、議員交流等を行っている。そのうち、高校生の交換留学事業は、長期間にわたる実績をもち、その経験者たちは現在、親日家として多くの分野で活躍している。また、コアラの受入事業は、1984年に2頭のコアラを受け入れて以来、合計10頭のコアラを受け入れており、都民にコアラを観察できる機会を提供している。
両自治体間の交流は、友好都州提携以降、拡大を続けていたが、近年の日本経済の低迷による税収の減少などにより、新たな局面を迎えている。友好都州提携以降、自治体の国際化を図るため職員の派遣受入等の人の往来を中心に交流を進めてきた両都州。今後はいかに経費をかけずに、効果的な交流を行っていけるかに焦点が移ってきている。東京都とNSW州は、両都州が共に抱える大都市行政としての役割や問題点を確認しあい、お互いのアプローチを学ぶことにより、それぞれの行政に反映させていこうとしている。両都州は、新たな交流の形態を模索しつつ、都市レベルでの新たな外交を進めようとしている。
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