| 大阪府とQLD州という一見不釣合いなカップルの共通項は、ともに万国博覧会で大きな飛躍を遂げたこと。70年の大阪万博は、東京五輪とともに、戦後日本の発展と繁栄を象徴するイベントとして昭和史に刻まれている。一方、QLD州の州都ブリスベンは、88年に開催された万博(レジャー博)を契機に市街が見違えるように整備され、近代的な大都会へと生まれ変わった。同万博の会場跡地を利用して造られた「サウスバンク・パークランズ」は、夕暮れ時の対岸の眺めが素晴らしく、市民や観光客の憩いの場になっている。大阪府とQLD州とは、83年に大阪府が開催した環太平洋自治体首長会議などを通じて既に旧知の間柄だったが、このブリスベンでの万博開催を機に正式な友好提携を締結し、それぞれの地域のニーズを踏まえた交流事業を提案し合いながら、絆を深めてきた。
QLD州側が特に期待を寄せているのは、貿易や投資への波及効果だ。同州政府は99年、関西国際空港対岸に大阪府が開発した国際ビジネス拠点「りんくうタウン」に、貿易投資促進事務所を開設した。提携10周年を記念して98年に交わされた経済協力覚書が実を結んだもので、オーストラリアの州政府が東京以外にも事務所を設けた初のケースとなった。同事務所の働きかけにより、昨年、大阪国際ビジネス振興協会のミッションがQLD州を訪問、商談を進めるなど、成果は着々と上がりつつある。
また、大阪府が期待する青少年交流の分野では、大阪国際少年少女合唱祭に毎年QLD州の合唱団が派遣され、ホームステイするなど、これまで数百名に上る青少年が相互に訪問している。
ユニークな事業としては「ゲスト・ティーチャー・プログラム」がある。これはQLD州の日本語教員が2〜6ヶ月大阪を訪問し、日本語教育の研修を受けながら、学校で英語を教えたり、国際交流活動にも従事するという、一石何鳥もの効果を狙った「欲張り」な事業だ。ゴールドコーストの小学校で日本語を教えているキャシー・ハンナンさんは、昨年の参加者の一人。普段はナマの日本語を聞いたり話したりする機会が少ないので、日本語の力が相当落ちていないかと不安だったそうだが、大阪に到着して2〜3週間もすると『眠っていた』日本語が甦ったとのこと。毎日日本語を使う環境で暮らすうちに語学力への自信も取り戻し、日本語学校での個人レッスンによって日本語を教える手腕にも磨きがかかった。
ゲスト・ティーチャーの様々な活動を通じて日本の生活文化に直接触れる日々は、キャシーさんにとって感動の連続だったそうだが、ゲスト・ティーチャーたちとの身近な国際交流の体験は、大阪の多くの人々にも新鮮な感動を与え、大いに感謝されている。大阪府とQLD州がめざしている「相互に有意義な交流」の模範例と言えるだろう。 |